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18 KiB

機械学習モデルを使うためのWebアプリを構築する

この講義では、この世界のものではないデータセットを使って機械学習モデルを学習させます。NUFORCのデータベースに登録されている「過去100年のUFO目撃情報」です。

あなたが学ぶ内容は以下の通りです。

  • 学習したモデルを「塩漬け」にする方法
  • モデルをFlaskアプリで使う方法

引き続きートブックを使ってデータのクリーニングやモデルの学習を行いますが、さらに一歩進んでモデルを「野生で」、つまりWebアプリで使うのを検討することも可能です。

そのためには、Flaskを使ってWebアプリを構築する必要があります。

講義前の小テスト

アプリの構築

機械学習モデルを使うためのWebアプリを構築する方法はいくつかあります。Webアーキテクチャはモデルの学習方法に影響を与える可能性があります。データサイエンスグループが学習したモデルをアプリで使用する、という業務があなたに任されている状況をイメージしてください。

検討事項

あなたがすべき質問はたくさんあります。

  • Webアプリですかそれともモバイルアプリですか モバイルアプリを構築している場合や、IoTの環境でモデルを使う必要がある場合は、TensorFlow Lite を使用して、AndroidまたはiOSアプリでモデルを使うことができます。
  • モデルはどこに保存しますか? クラウドでしょうか?それともローカルでしょうか?
  • オフラインでのサポート。 アプリはオフラインで動作する必要がありますか?
  • モデルの学習にはどのような技術が使われていますか? 選択された技術は使用しなければいけないツールに影響を与える可能性があります。
    • Tensor flow を使っている。 例えば TensorFlow を使ってモデルを学習している場合、 TensorFlow.js を使って、Webアプリで使用できるように TensorFlow モデルを変換する機能をそのエコシステムは提供しています。
    • PyTorchを使っている。 PyTorch などのライブラリを使用してモデルを構築している場合、ONNX (Open Neural Network Exchange) 形式で出力して、JavaScript のWebアプリで Onnx Runtime を使用するという選択肢があります。この選択肢は、Scikit-learn で学習したモデルを使う今後の講義で調べます。
    • Lobe.ai または Azure Custom Vision を使っている。 Lobe.aiAzure Custom Vision のような機械学習SaaS (Software as a Service) システムを使用してモデルを学習している場合、この種のソフトウェアは多くのプラットフォーム向けにモデルを出力する方法を用意していて、これにはクラウド上のオンラインアプリケーションからリクエストされるような専用APIを構築することも含まれます。

また、ウェブブラウザ上でモデルを学習することができるFlaskのWebアプリを構築することもできます。JavaScript の場合でも TensorFlow.js を使うことで実現できます。

私たちの場合はPythonベースのートブックを今まで使用してきたので、学習したモデルをそのようなートブックからPythonで構築されたWebアプリで読める形式に出力するために必要な手順を探ってみましょう。

ツール

ここでの作業には2つのツールが必要です。FlaskとPickleで、どちらもPython上で動作します。

Flask とは制作者によって「マイクロフレームワーク」と定義されているFlaskは、Pythonを使ったWebフレームワークの基本機能と、Webページを構築するためのテンプレートエンジンを提供しています。Flaskでの構築を練習するために この学習モジュール を見てみてください。

Pickle とはPickle 🥒 は、Pythonのオブジェクト構造をシリアライズ・デシリアライズするPythonモジュールです。モデルを「塩漬け」にすると、Webで使用するためにその構造をシリアライズしたり平坦化したりします。pickleは本質的に安全ではないので、ファイルの 'un-pickle' を促された際は注意してください。塩漬けされたファイルの末尾は .pkl となります。

演習 - データをクリーニングする

この講義では、NUFORC (The National UFO Reporting Center) が集めた8万件のUFO目撃情報のデータを使います。このデータには、UFOの目撃情報に関する興味深い記述があります。例えば以下のようなものです。

  • 長い記述の例。 「夜の草原を照らす光線から男が現れ、Texas Instruments の駐車場に向かって走った」
  • 短い記述の例。 「私たちを光が追いかけてきた」

ufos.csv のスプレッドシートには、目撃された場所の都市 (city)、州 (state)、国 (country)、物体の形状 (shape)、緯度 (latitude)、経度 (longitude) などの列が含まれています。

この講義に含んでいる空の ノートブック で、以下の手順に従ってください。

  1. 前回の講義で行ったように pandasmatplotlibnumpy をインポートし、UFOのスプレッドシートをインポートしてください。サンプルのデータセットを見ることができます。

    import pandas as pd
    import numpy as np
    
    ufos = pd.read_csv('./data/ufos.csv')
    ufos.head()
    
  2. UFOのデータを新しいタイトルで小さいデータフレームに変換してください。また、Country 属性の一意な値を確認してください。

    ufos = pd.DataFrame({'Seconds': ufos['duration (seconds)'], 'Country': ufos['country'],'Latitude': ufos['latitude'],'Longitude': ufos['longitude']})
    
    ufos.Country.unique()
    
  3. ここで、null値をすべて削除し、1~60秒の目撃情報のみを読み込むことで処理すべきデータ量を減らすことができます。

    ufos.dropna(inplace=True)
    
    ufos = ufos[(ufos['Seconds'] >= 1) & (ufos['Seconds'] <= 60)]
    
    ufos.info()
    
  4. Scikit-learn の LabelEncoder ライブラリをインポートして、国の文字列値を数値に変換してください。

    LabelEncoder はデータをアルファベット順にエンコードします。

    from sklearn.preprocessing import LabelEncoder
    
    ufos['Country'] = LabelEncoder().fit_transform(ufos['Country'])
    
    ufos.head()
    

    データは以下のようになります。

    	Seconds	Country	Latitude	Longitude
    2	20.0	3		53.200000	-2.916667
    3	20.0	4		28.978333	-96.645833
    14	30.0	4		35.823889	-80.253611
    23	60.0	4		45.582778	-122.352222
    24	3.0		3		51.783333	-0.783333
    

演習 - モデルを構築する

これでデータを訓練グループとテストグループに分けてモデルを学習する準備ができました。

  1. Xベクトルとして学習したい3つの特徴を選択し、Yベクトルには Country を指定します。SecondsLatitudeLongitude を入力して国のIDを取得することにします。

    from sklearn.model_selection import train_test_split
    
    Selected_features = ['Seconds','Latitude','Longitude']
    
    X = ufos[Selected_features]
    y = ufos['Country']
    
    X_train, X_test, y_train, y_test = train_test_split(X, y, test_size=0.2, random_state=0)
    
  2. ロジスティック回帰を使ってモデルを学習してください。

    from sklearn.metrics import accuracy_score, classification_report
    from sklearn.linear_model import LogisticRegression
    model = LogisticRegression()
    model.fit(X_train, y_train)
    predictions = model.predict(X_test)
    
    print(classification_report(y_test, predictions))
    print('Predicted labels: ', predictions)
    print('Accuracy: ', accuracy_score(y_test, predictions))
    

国 (Country) と緯度・経度 (Latitude/Longitude) は相関しているので当然ですが、精度は悪くないです。約95%

緯度 (Latitude) と経度 (Longitude) から国 (Country) を推測することができるので、作成したモデルは画期的なものではありませんが、クリーニングして出力した生のデータから学習を行い、このモデルをWebアプリで使用してみる良い練習にはなります。

演習 - モデルを「塩漬け」にする

さて、いよいよモデルを「塩漬け」にしてみましょう!これは数行のコードで実行できます。「塩漬け」にした後は、そのモデルを読み込んで、秒・緯度・経度を含むサンプルデータの配列でテストしてください。

import pickle
model_filename = 'ufo-model.pkl'
pickle.dump(model, open(model_filename,'wb'))

model = pickle.load(open('ufo-model.pkl','rb'))
print(model.predict([[50,44,-12]]))

モデルはイギリスの国番号である 「3」 を返します。すばらしい!👽

演習 - Flaskアプリを構築する

これでFlaskアプリを構築してモデルを呼び出すことができるようになり、これは同じような結果を返しますが、視覚的によりわかりやすい方法です。

  1. まず、ufo-model.pkl ファイルと notebook.ipynb ファイルが存在する場所に web-app というフォルダを作成してください。

  2. そのフォルダの中に、さらに3つのフォルダを作成してください。css というフォルダを含む static と、templates です。以下のようなファイルとディレクトリになっているはずです。

    web-app/
      static/
        css/
      templates/
    notebook.ipynb
    ufo-model.pkl
    

    完成したアプリを見るには、solution フォルダを参照してください。

  3. web-app フォルダの中に作成する最初のファイルは requirements.txt です。JavaScript アプリにおける package.json と同様に、このファイルはアプリに必要な依存関係をリストにしたものです。requirements.txt に以下の行を追加してください。

    scikit-learn
    pandas
    numpy
    flask
    
  4. 次に、web-app に移動して、このファイルを実行します。

    cd web-app
    
  5. requirements.txt に記載されているライブラリをインストールするために、ターミナルで pip install と入力してください。

    pip install -r requirements.txt
    
  6. アプリを完成させるために、さらに3つのファイルを作成する準備が整いました。

    1. ルートに app.py を作成してください。
    2. templates ディレクトリに index.html を作成してください。
    3. static/css ディレクトリに styles.css を作成してください。
  7. 以下のスタイルで styles.css ファイルを構築してください。

    body {
    	width: 100%;
    	height: 100%;
    	font-family: 'Helvetica';
    	background: black;
    	color: #fff;
    	text-align: center;
    	letter-spacing: 1.4px;
    	font-size: 30px;
    }
    
    input {
    	min-width: 150px;
    }
    
    .grid {
    	width: 300px;
    	border: 1px solid #2d2d2d;
    	display: grid;
    	justify-content: center;
    	margin: 20px auto;
    }
    
    .box {
    	color: #fff;
    	background: #2d2d2d;
    	padding: 12px;
    	display: inline-block;
    }
    
  8. 次に index.html を構築してください。

    <!DOCTYPE html>
    <html>
      <head>
        <meta charset="UTF-8">
        <title>🛸 UFO Appearance Prediction! 👽</title>
        <link rel="stylesheet" href="{{ url_for('static', filename='css/styles.css') }}">
      </head>
    
      <body>
        <div class="grid">
    
          <div class="box">
    
            <p>According to the number of seconds, latitude and longitude, which country is likely to have reported seeing a UFO?</p>
    
            <form action="{{ url_for('predict')}}" method="post">
              <input type="number" name="seconds" placeholder="Seconds" required="required" min="0" max="60" />
              <input type="text" name="latitude" placeholder="Latitude" required="required" />
              <input type="text" name="longitude" placeholder="Longitude" required="required" />
              <button type="submit" class="btn">Predict country where the UFO is seen</button>
            </form>
    
            <p>{{ prediction_text }}</p>
    
          </div>
    
        </div>
    
      </body>
    </html>
    

    このファイルのテンプレートを見てみましょう。予測テキストのようにアプリから渡された変数を、 {{}} という「マスタッシュ」構文で囲んでいることに注目してください。また、/predict のパスに対して予測を送信するフォームもあります。

    ついに、モデルを使用して予測値を表示するpythonファイルを構築する準備ができました。

  9. app.py に以下を追加してください。

    import numpy as np
    from flask import Flask, request, render_template
    import pickle
    
    app = Flask(__name__)
    
    model = pickle.load(open("./ufo-model.pkl", "rb"))
    
    
    @app.route("/")
    def home():
        return render_template("index.html")
    
    
    @app.route("/predict", methods=["POST"])
    def predict():
    
        int_features = [int(x) for x in request.form.values()]
        final_features = [np.array(int_features)]
        prediction = model.predict(final_features)
    
        output = prediction[0]
    
        countries = ["Australia", "Canada", "Germany", "UK", "US"]
    
        return render_template(
            "index.html", prediction_text="Likely country: {}".format(countries[output])
        )
    
    
    if __name__ == "__main__":
        app.run(debug=True)
    

    💡 ヒント: Flaskを使ったWebアプリを実行する際に debug=True を加えると、サーバを再起動しなくてもアプリに加えた変更がすぐに反映されます。注意!本番アプリではこのモードを有効にしないでください。

python app.py もしくは python3 app.py を実行すると、Webサーバがローカルに起動し、UFOがどこで目撃されたのかという重要な質問に対する答えを、短いフォームに記入することで得られます。

その前に app.py を見てみましょう。

  1. 最初に、依存関係が読み込まれてアプリが起動します。
  2. 次に、モデルが読み込まれます。
  3. 次に、ホームのパスで index.html がレンダリングされます。

/predict のパスにフォームを送信するといくつかのことが起こります。

  1. フォームの変数が集められてnumpyの配列に変換されます。それらはモデルに送られ、予測が返されます。
  2. 表示させたい国は、予測されたコードから読みやすい文字列に再レンダリングされて、index.html に送り返された後にテンプレートの中でレンダリングされます。

このように、Flaskとpickleされたモデルを使うのは比較的簡単です。一番難しいのは、予測を得るためにモデルに送らなければならないデータがどのような形をしているかを理解することです。それはモデルがどのように学習されたかによります。今回の場合は、予測を得るために入力すべきデータが3つあります。

プロの現場では、モデルを学習する人と、それをWebやモバイルアプリで使用する人との間に、良好なコミュニケーションが必要であることがわかります。今回はたった一人の人間であり、それはあなたです


🚀 チャレンジ

ートブックで作業してモデルをFlaskアプリにインポートする代わりに、Flaskアプリの中でモデルをトレーニングすることができます。おそらくデータをクリーニングした後になりますが、ートブック内のPythonコードを変換して、アプリ内の train というパスでモデルを学習してみてください。この方法を採用することの長所と短所は何でしょうか?

講義後の小テスト

振り返りと自主学習

機械学習モデルを使用するWebアプリを構築する方法はたくさんあります。JavaScript やPythonを使って機械学習を活用するWebアプリを構築する方法を挙げてください。アーキテクチャに関する検討: モデルはアプリ内に置くべきでしょうかそれともクラウドに置くべきでしょうか後者の場合、どのようにアクセスするでしょうか機械学習を使ったWebソリューションのアーキテクチャモデルを描いてください。

課題

違うモデルを試す